コラム

2023/09/29 コラム

2級キャリアコンサルタント技能士

 私事になりますが、私は2級キャリアコンサルティング技能士という資格を所持しております。平成25年度に取得しました。

 キャリアコンサルティング技能検定は、技能検定職種のひとつとして平成20年に追加された試験で、キャリアコンサルティングの知識と技能を図る国家検定です。
 厚生労働省の定義によると、「キャリアコンサルティング」とは、「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと」とされています。
 私は、2級を所持しているのですが、2級のレベルは、「個人の相談に対して相談者との関係構築のもとに問題・課題などを見立てることができ、1対1の相談支援が的確にできるレベルです。」とのことです。

 さて、この資格が今の弁護士業務に役立っているのでしょうか? 結論から言うと、「少しは」役立っているかと思います。

 たしかに、今は個人の「職業に関する相談」を扱っているわけではありません。「法律に関する相談」であり、相談の内容は異なるものといえます。
しかし、キャリアコンサルティングでは、傾聴の際に求められる重要なことに「共感的理解」と「無条件の肯定的関心」というものがあります。
 「共感的理解」に基づく傾聴とは、相手の話を聴くときに、相手の立場になって相手の気持ちに共感しながら聴くことです。
 「無条件の肯定的関心」を持った傾聴とは、相手の話の内容が、たとえ法律的には認められない内容であっても、初めから否定することなく、なぜそのようなことを考えるようになったのか関心を持って聴くことです。
 法律相談でも、これを実践することで、相談者との良好な関係構築をすることになるからです。
 相談者によっては、自分の置かれた状況をうまく言語化できない場合もある。それでもまずは相談者の話しを聞いてみる。
 もちろん法律相談の結論としては、相談者の思いを実現できない場合もあります。その場合でも、傾聴と共感をしてから到達した結論であれば、相談したことに対する一定の満足度は得られるのではないかと感じます。
 そして、それが本人の解決のための一歩となるとしたら、幸いと感じます。

(遠藤浩紀)

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