架空請求の通知が来た時の対処法
一 私は、二年前成人用週刊誌の広告をみて、私の実家に送ってもらうようにして、ある品物を代金2万5000円で買いました。その時、注文品はちゃんと送られてきましたので、代金は銀行振込で支払いました。
二 ところが、最近「この代金が未払いだから支払え」という手紙が、私の実家に送られてきました。手紙の差出人は、未払代金の債権を譲り受けたという会社と、その会社の代理人の弁護士です。
三 手紙の題名は、訴訟開始通知書と書いてあり、内容は「未払代金をすぐに支払え、さもなくば、譲り受けた会社の社員が、私宅や勤務先に取立てに出向くし、又弁護士も訴訟を起こし、更に給料や家・土地の差し押さえも準備している。いずれにしても、すぐに弁護士の事務所に電話連絡をよこせ」という脅迫めいたものです。
四 私は2万5000円くらいだから、家族にバレないうちに、再度支払ってしまおうかとも考えていますが、何となく納得できません。どうしたらよいでしょうか。
一 あなたはお金を支払ってはいけません。現在あなたのように、不法に二重請求を受けている人が増えてきています。
二 あなたは、家族、特に妻や子どもに知られたくないような品物を購入したとのことですが、あなたのように、品物を注文した人の名前は一覧表にのせられ、名簿屋から誰かに売られていると考えられます。
三 そして、やや時間が経過したところで、再度代金の請求をすると、注文者は振込証の控えを紛失していることが多かったり、金額もさほど大きくないことや事態が表面化するのを恐れて、二重払いをしてしまいがちです。
四 しかし、これですべてが終わるとは限りません。場合によっては、更に同じような請求をされかねません。従って、あなたは安易に支払いをしないことです。又指示されたところに連絡も入れず放っておくのが、今の時点では最善の方法です。
五 しかし、しつこく催促をされたり、最悪の場合には、訴訟を起こされたりしかねません。訴訟を起こされても放っておくと、欠席裁判で敗訴判決を受けてしまいます。
ですから、どうしても対応せざるを得ないこととなったら、銀行に訳を話して振込みの事実を証明する書類を発行してもらうべきでしょう。
六 ところで、こういう文書は本当の弁護士からみると、いかにも怪しい文面が書かれていたり、又弁護士と書いてあってもニセモノの場合も多々あります。
現金振り込め詐欺をはじめとして、他人の困惑や混乱に乗じて金を騙し取ったり、あるいは弁護士、役所の職員、更には警察官を名乗って金を騙し取る様々な詐欺事件が相次いでいます。そしてこのような場合、ニセモノの場合が殆どです。弁護士については、ニセモノかどうかは、弁護士会に問い合わせればすぐに判りますし、その時は警察に届けるべきです。
七 いずれにしても、どんな場合でも振込証の控えは大切に保存しておかないと、後で思わぬ被害にあいかねません。ご注意が肝要です。
弁護士 塩味 達次郎