催眠商法に騙された

一 近所の公民館を会場にして、「日用品を安く買える販売会」があり、そこに行くだけで「もれなくお花をプレゼント」ということを聞いたので、喜んで会場に行きました。

二 会場の入口でプレゼントのお花をもらうと、会場内に案内されました。すると、かなりの人でにぎわっており、しばらくして販売員の人が現れ「これから、お買い得商品を幾つかご紹介します。欲しいと思った方は、ハイと大きな返事をして手を上げてくださいね~」と説明し販売会が始まりました。「まずは体・環境にやさしい石鹸、普段は三〇〇円のところ、今日は二〇円。欲しい人は手を上げて。」と言われ、私は迷わず手を上げましたが、他の人が先だったため買えませんでした。

三 同じように「次は、高級歯ブラシ。普段は1,000円のところ今日は50円」と言われ、手を上げましたが、また先を越されてしまいました。

四 今度こそは、と思い、次からの商品を待つと「有害物質を取り除いてくれるポット。1万円のところ。思い切って500円」、「高性能浄水器、30万円のところ5万円」と続き、がんばって手をあげましたが買えませんでした。

五 「それでは、これが最後の商品です。高級健康布団、中に遠赤外線を発生させる特殊な綿が入っていて、とても温かいですよ。腰痛の方なんかに最適。これを通常80万円するところ、今日は20万円」と言われ、急いで手を上げると、やっと私が一番になり、買えることになりました。その後、契約書にサインをして帰ってきました。

六 家に帰り、冷静になって考えてみると、家には布団はあるし全然欲しくもない布団なんです。ただ、その会場では、他の人がいろんな物を安く買って得してるのに、自分だけせっかく行ったのに買わないと損、と思ってしまったんです。周りの雰囲気に飲まれてしまった自分が悪いのですが、契約を取り消せないでしょうか。

一 ご質問のようなケースは、催眠商法とかSF商法と言われる悪質商法の一種で、多勢の人数を集めた会場で、集まった大たちを催眠状態に陥らせて高額商品(羽毛布団、健康食品、磁気マットレスなど)を売りつける商法です。

二 人の集め方は、ご質問のように「日用品を安く買える」とか「くじ引き」に当ったらついでに「会場へ来ればもっと良い物がもらえる」などと、業者が消費者を実際には高額な商品を売りつける目的を持っているにも拘わらずその目的を偽って呼び出すものです。

三 このような商法は特定商取引に関する法律によって規制される訪問販売に該当します。即ち、「目的を偽って来所させた消費者」と契約する場合には、店舗や販売会場における契約であっても訪問販売に該当するとされます。あなたが、契約をした商品(本件では、布団)は、特定商取引に関する法律の指定商品(※)ですので、クーリングーオフ、つまり、契約を解消できるのです。

四 クーリングーオフのやり方は、契約書面を渡された日を一日目として八日目までの間に、配達証明け内容証明郵便で「契約を解除します」と記載して発信すれば、発信したときに契約は最初にさかのぼってなかったことになりますから、あなたは代金を支払う義務もなくなるのです。

弁護士 塩味滋子

※平成20年の特定商取引法改正により指定商品制が廃止され、原則としてすべての商品が同法による規制の対象となりました。