個人再生手続と自己破産手続の違いを教えて下さい。

個人再生手続と自己破産手続の違いを教えて下さい。

 

個人再生手続は、債務者の現状をできるだけ維持しながら負債を圧縮し、債務者の再生を図る再建型の手続であるのに対して、自己破産手続は、債務者の財産を一旦清算した上でゼロからのスタートを図る清算型の手続である点で大きく異なります。このような観点から両者には以下のような違いがあります。

申立権者

個人再生手続は、個人が再建を図る意思があるかどうかが重要なため、申立権者は債務者に限られます。但し、一般民事再生については規模も大きく、債権者の利害関係も大きいため債権者も申立権が認められます。破産では、債権者間の平等を図るなど債権者の利害関係が大きいため、債務者のみならず債権者も申立権が認められます。

申立の要件

個人再生手続では、債務者にある程度余力がある段階でその再建を図る制度であるため、債務者に「支払不能に陥るおそれ」があれば足りますが、自己破産では、債務者の財産を清算して配当し、免責になれば破産者は以後債務を負わなくなるという重大な結果を生じる制度であることから、債務者が「支払不能」になっていることが必要です。

総債務額

個人再生は、一般民事再生の特則として手続が簡易化されている反面、住宅ローン以外の債務総額が5000万円以下であることが必要です。自己破産についてはそのような制限はありません。

申立人の経済的状況

個人再生は、再生計画に基づいて3年(特別の事情があれば5年まで)の期間に債権者に分割弁済することを予定する制度ですから、その申立にあたっては、申立人に「継続的または反復継続して収入が得られる見込み(給与所得者等個人再生ではさらに「定期収入があること」が必要)が必要とされます。自己破産の場合は、そのような事情がないため、このような要件は課されていません。

資格制限

個人再生手続は、債務者の再建を図る手続であるため、その申し立てをしたからと言って一定の職業に就けないなどの制限はありません。これに対して自己破産の場合は免責までの間とは言え、資格制限に関する規程があり、一定の職業に就くことができなくなります。

免責制度

個人再生手続では、住宅ローン以外の債務について一定の金額に減額されますが、債務が免除されることはありません。これに対して、自己破産手続では免責決定が得られると、これまで負っていた債務の支払いが原則として免除されます。

免責不許可事由

個人再生手続については、そもそも免責制度が認められていませんので、免責不許可事由という問題もありません。これに対して、自己破産手続では、免責制度が認められる反面、ギャンブルや浪費によって過大な債務を負ったような場合について、免責不許可事由が定められています。

財産の換価

個人再生手続は、債務者の現状をできるだけ維持したままその再建を図る手続ですから、その財産の換価処分ということはありません。これに対して、自己破産手続で債務者にある程度の財産があって管財人が選任された場合には、その財産は管財人により処分され、その代金は各債権者に配当されることになります。但し、自己破産手続でも債務者にめぼしい財産がないため同時廃止事件となった場合には、債務者の財産が換価されるということはありません。