【改正相続法】配偶者居住権の存続期間・賃料等
配偶者居住権の存続期間はどのくらいですか。また、賃料を支払う必要はありますか。
配偶者居住権の存続期間
配偶者居住権の存続期間は、原則として配偶者の終身間です。但し、遺産分割協議、遺言、家庭裁判所の審判において別段の定めがあればそれによります(新法1030条)。
配偶者居住権の賃料
配偶者居住権は、被相続人の財産に属した建物の全部について無償で使用及び収益をする権利を言います。従って、配偶者相続人は建物を相続した相続人等に賃料を支払う必要はありません。ただ、配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する必要がありますので(新法1034条1項)、固定資産税等は配偶者相続人の負担になります。
修繕費も、原則として「通常の必要費」に含まれますが、新法1034条2項は、通常の必要費以外は民法583条2項を準用するとしていますので(更に民法583条2項は同法196条を準用している)、災害等によって大規模な修繕が必要となった場合の修繕費などの特別の費用は、「通常の必要費」にはならないとされる可能性があります。
また、敷地が第三者所有の場合の地代は、配偶者相続人と建物を相続した相続人のいずれが負担するのかという問題があります。
さらに有益費については、改良による価格の増加が現存する場合に限って、建物の所有者は、配偶者が支出した額又は増価額を、配偶者に償還する義務を負うことになります(民法1034条2項、民法583条2項、民法196条)。
いずれにしても、配偶者居住権では、配偶者は賃料こそ支払う必要はありませんが、通常の必要費については配偶者相続人の負担となりますので、その点は注意が必要です。