【改正相続法】配偶者居住権が認められる場合

q改正相続法で創設された配偶者居住権は、どのような場合に認められますか。

 

 

a配偶者居住権の取得方法

配偶者居住権が認められるためには、「配偶者相続人が相続開始の時に被相続人の遺産たる建物に居住していた場合」で、以下の三つの場合に取得することができます。

  • 遺産分割により取得する方法
  • 遺言で、配偶者居住権を遺贈の目的とする方法
  • 家庭裁判所の審判による方法

いずれの場合も、「配偶者相続人が相続開始の時に被相続人の遺産たる建物に居住していた場合」が要件になりますので、被相続人死亡当時に配偶者相続人が被相続人と仲違いして別居していたような場合は、配偶者居住権が認められませんので注意が必要です。また、被相続人が住居建物を配偶者以外の者と共有していた場合も、配偶者居住権は認められません(新法1028条1項但書)。これは、遺言や遺産分割に関係のない第三者に過大な負担を負わせないようにする趣旨です。

遺産分割により取得する方法

相続人全員の同意が得られるのであれば、この方法が最も簡易な方法になりますが、相続人間の話し合いがまとまらない場合は、他の方法によらざるを得ません。

遺言による方法

被相続人の生前に、その協力が得られるのであれば、この方法が配偶者相続人としては最も安心できる方法でしょう。この場合、他の相続人の遺留分権を考慮する必要がありますが、新法1028条3項は、20年以上の婚姻期間があれば持ち戻し免除の推定が働きます。

家庭裁判所の審判による方法

家庭裁判所の審判により配偶者居住権が認められるのは、以下の場合に限られます(新法1029号各号)。

  1. 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。
  2. 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき(前号に掲げる場合を除く。)。

家庭裁判所の審判による方法の場合、配偶者相続人以外の相続人の一部又は全員が配偶者居住権の成立に反対していると、「配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき」に限って配偶者居住権が認められることになります。