【改正相続法】自筆証書遺言書の作成方法

Q相続法の改正で、自筆証書遺言書の作成方法が変わったそうですが、具体的にはどのように変わったのでしょうか?

 

 

Aこれまでの自筆証書遺言書の作成方法と問題点

従来の相続法では、自筆証書遺言書は「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自署し、これに印を押さなければならない」とされてきました。確かにこのような規定でも「すべての財産を妻に相続させる」と言った簡単な内容の場合はそれほど問題はありませんでした。しかし、不動産や預貯金等の財産が複数あり、それぞれを複数の相続人等に別個に相続させる、あるいは遺贈するなどの複雑な内容のものになると、高齢の遺言者にそのすべてを自署させることは困難を伴うことも事実でした。

改正相続法による改正点

そこで、改正相続法は、遺言書の本文はこれまで通り遺言者の自署を要求していますが、財産の目録についてはその要件を緩和し、ワープロでの記載や不動産登記簿謄本(不動産全部事項証明書)・預金通帳のコピーでも足りることとしました(改正相続法968条2項)。但し、この場合の財産目録の各ページ(裏と表がある場合は両面)に遺言者が署名し、押印する必要があります。遺言書本文と目録の印鑑は同一である必要はありませんが、念のため、同一の印鑑を使用した方がよいでしょう。また、遺言書が複数枚にわたる場合に契印は要求されていませんが、これも念のため押しておいた方がよいです。
また、こうして作成された自筆証書遺言書を遺言書保管場所に保管してもらう場合は、さらに自筆証書遺言書の様式に制限があります。具体的にはA4用紙を用いること、余白は「上部が5m以上、下部が10mm以上、左が20mm以上、右が5mm以上」になります(詳しくはこちらを参照)。なお、自筆証書遺言書に押す印鑑やページ数も上記の余白からはみ出さないようにする必要がありますので、自筆証書遺言書を作成する場合は注意してください。