妻から突然の離婚請求があった場合~熟年離婚

一 私は今、妻から離婚を求められています。私は45歳で、妻との間には、6歳と8歳の子供二人がいます。
ある夜、帰宅したところ、妻は突然、身の回りのものを持って、実家に帰ってしまっていて、置き手紙がありました。そのを読むと、妻は私に対し、①離婚を請求する、②慰謝料として300万円、財産分与として、結婚してから今日までに増加した財産の半分を譲渡すること、③子供二人の親権者を妻とすること、④子供二人が成人するまでの養育費として、一人あたり月6万円を支払うことを要求してきました。

二 離婚を求める理由は、私が高圧的にものを言うので、毎日怖くて精神的に不安定となり、現在病院に通院していること、私の帰宅が毎日遅く、飲酒して帰ること、子供に対しては、暴力を振るい恐怖に陥れていること等、私が家庭内で勝手気ままに暮らしていて、家庭を全く顧みないことをあげ、もはや私に愛情を感じていないというのです。
私としては、話し声がやや大きいことや、話し方が強いと言うことはあるかもしれませんが、離婚ということは、全く寝耳に水という感じで到底納得できません。妻の言い分は、自分勝手なものであると考えています。

三 私は毎朝七時に出勤し、夕方八時頃まで会社で勤務し、その後気分転換に飲酒して、夜一一時か一二時頃に帰宅するという生活をしています。しかし、妻に対しては、特に強くものを言ったつもりはなく、暴力を振るったこともありません。子供に対しても、躾として行儀の悪いときに軽く手で叩くことはあっても、本気で叩くことなどあり得ません。社会一般の普通の夫、普通の父親として生活してきました。

四 私の年収は、手取りで800万円です。なお、現在の住居を購入するため、ローンを組んでおり、その支払いに月々8万円ほどかかります。
私としては、毎日家族の為に一所懸命やってきたつもりです。妻の請求は不当と考えますが、どうでしょうか。また、私は仮に離婚することとなったときは、子供の親権は何としても自分が取りたいと思っています。私の要求は認められるでしょうか。

一 民法は、夫婦の一方から他方に離婚を請求して認められるためには、ⅰ配偶者に不貞の行為があったとき、ⅱ配偶者から悪意で遺棄されたとき、ⅲ配偶者の死亡が三年以上明らかでないとき、ⅳ配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、ⅴその他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき、と定めています。

二 貴方の妻の言い分は、夫の暴力による虐待を原因として、離婚を要求しているものと思われます。ですから、離婚事由としては、婚姻を継続しがたい重大な事由があるときにあたると言うことだと考えられます。
ところで、実際上はどうだったのでしょうか。貴方に真実思い当たることがなく、妻の言い分が虚偽であるとすれば、離婚は当然認められません。しかし、貴方にとっては普通の言い方でも、妻にとっては怖く感ぜられ、心理的圧迫を受けることとなって、精神神経に変調を来たし、病院に通院しているということになると、医師の診断の結果が離婚を認めるべきかどうかの判断に、影響を与えることになります。

三 貴方としては、家庭の中で普通の夫であり、普通の父親であると考え振舞って来たわけですが、妻や子にとっては暴君に映ったとすれば、不幸な結果と言わざるを得ません。その場合、妻の要求どおり離婚が認められることとなります。離婚が認められるとすれば、財産分与として、結婚以来今日まで増加した財産の半分が、妻のものと認められます。
四 また、妻の通院が事実であり、精神神経に真実変調を来しているとの事実が明らかになれば、病気の程度および病院への通院期間により、一定額の慰謝料の支払いも認められることとなります。

五 子の親権については、子供が小学校に通学しているぐらいの年齢の場合には、殆ど母親が取ることとなります。裁判所は子供の福祉という観点から、父親よりも母親の方が適していると考えるのです。また、養育費として成人するまで、一人あたり月6万円の支払いも認められると思います。
以上、申し上げたとおり貴方の主張は認められるかどうかは、何とも言えないというのが事実です。
従って、現状では貴方は奥さんと何とか話し合いの機会を作ってじっくりと話し合いの機会を重ね、反省すべきは反省して出直す決意をしたほうが良いのではないかと思います。

弁護士 塩味達次郎